ライトゲーム用タックル、チューブラーorソリッド?アジングorメバリング?どっちにすれば良い?
・ライトゲーム入門者
・アジングロッドとメバリングロッドって何が違うの
・チューブラーとかソリッドとかよくわからない
ライトゲーム(Light Game)とは、ウェイトの軽い(=Light)タックルを用いたゲームフィッシングのこと。
近年急速に人気が高まっていて、アジを狙うアジングとメバルを狙うメバリングはその人気の双璧をなしている。
「ライト」という名に反して、どちらの魚も釣り味が良く、サイズの割にパワーのあるファイトをすることが特徴だ。
ライトゲームを楽しむためには専用タックルが必須。
エギングやシーバス、ライトショアジギングなんかはルアーロッド1本で出来たりもするが、ライトゲームだけは専用ロッドが無ければ楽しむことはできない。
アジもメバルも(一部地域を除けば)狙うサイズは30cm前半まで。メインとなるサイズは15cm~25cmくらい。
小物を釣るには小物に合わせた繊細なタックルが必要、ということだ。
この記事ではライトゲームタックルを選ぶ上でのポイントと、2万円前後で揃うライトゲームタックル一式(ロッド、リール、ライン、ジグヘッド)を紹介していく。
これから入門する人は是非参考にしてもらいたい。
釣り用語が多く読みづらい人は以下のページも参考にしてほしい。
ロッド編
メバリングロッド or アジングロッド
まずは結論から、この2種類のロッドの大まかな違いは…
メバリングロッド … ティップ(穂先)が柔らかく、バット(根本)が硬い。
アジングロッド … ティップ(穂先)が硬く、バット(根本)が柔らかい。
ティップ(穂先)はフッキング(合わせ)時に関係し、バット(根本)はファイト(やり取り)時に関係するものと考えてもらいたい。
それぞれメバル、アジというそれぞれの魚の性質を考慮した設計になっている。
メバル
メバルなどの根魚は、エサを吸い込んで反転する性質がある。捕食のために巣となる根から姿を現し、捕食後はその巣に戻るためだ。
このため、小さな吸引力でも針がより吸い込まれやすいようにティップが柔らかく設計されている。
つまり、メバリングロッドは「ただ巻きしてたら勝手に釣れた」というような、オートマチックなフッキングができる。
初心者、入門者には非常におすすめだ。
また、彼らが捕食後に巣に戻ろうとする「潜る力」は侮れたものではない。
一度根に入られてしまえば、そこから引きずり出すのは非常に難しい。
そのため、バット(根本)を硬く設計することでファイト(やり取り)を一瞬で決するようなパワーを実現している。
アジ
一方、アジはエサを吸い込み、反転はしないが違和感があるとその場で吐き出してしまう性質がある。
アジの口は大きく、針がついたジグヘッドでさえ簡単に吐き出されてしまうので、吸い込んだら(=アタリを感じたら)しっかりと合わせを入れる必要がある。
つまり、アタリをより明確に感じやすく、ジグヘッドをシャキッと動かすことができる硬く張りのある穂先が採用されている。
対して、アジングロッドのバット(根元)部分は、しなやかで粘りのある設計がされたものが多い。
これは、アジの口が切れやすく、ファイト時にショックが加わると簡単にフックアウトしてしまうためだ。
粘りのあるしなやかなバットでファイト中の衝撃を吸収し、バラシを軽減する役割を担っている。
ちなみに、「アジング/メバリング兼用」と表記があるロッドも存在する。
メーカーにもよるが、それぞれの性質の中間をとったバーサタイルな設計がされていると考えて差し支えないはずだ。
ソリッドティップ or チューブラーティップ
ロッドティップ(竿の穂先)には2種類ある。それがソリッドティップとチューブラーティップだ。
違いはこう。
ソリッドティップ … 柔らかいので魚にジグヘッドを吸い込ませやすい
チューブラーティップ … 硬いのでジグヘッドを自由に動かしやすい
前項目でも説明したが、基本的にはメバリングは穂先が柔らかい方、アジングは穂先が硬い方がそれぞれ適している。
釣る頻度が高い方の魚に合わせて選んでも良いだろう。
また、それぞれの性質から釣り方も変わってくる。大まかには「オートで乗せる」のがソリッド、「積極的に合わせる」のがチューブラーと捉えてOKだ。
1尾を確実にメイクしたければソリッド、ゲーム性を追求するならチューブラーという選び方もできる。
穂先の組み合わせ的に、メバリングロッド(穂先柔)だからソリッド(柔)、アジングロッド(穂先硬)だからチューブラー(硬)でなければいけないということは全くない。
0.1号クラスのPEラインで1g未満のリグを操るにはより繊細なソリッドティップが適している。
※筆者が使っているメバリングロッド(穂先柔)はチューブラー(硬)。メバルをねじ伏せるバットパワーがありながら、積極的に合わせを入れられるアクティブなメバリングロッドだが、小さいメバルや活性の低いメバルのバイトは弾きまくり。こんな感じで、それぞれにメリットとデメリットがあるのだ。
※アジングロッド(穂先硬)+ソリッド(柔)の組み合わせも近年では主流になりつつある。アジングはメバリングよりもさらに細いライン、軽いジグヘッドを使うことがあり、これを扱うには穂先が柔らかい方が適しているからだ。
ただし、気を付けたいのはソリッドはチューブラーに比べてねじれに弱く折れやすいという点だ。
扱いが雑で小さな傷でも入ろうものなら簡単に折れてしまう。また、穂先の糸がらみも破損の原因の一つだ。
運搬時とキャスト時は特に注意をして扱ってほしい。
ロッドの種類とロッドティップの性質まとめ
ロッドの長さ
基本的に、ロッドの長さは「飛距離」を決めるものだと考えよう。しかし、長ければ長くなるほど手元の釣りがしづらくなる。
長いロッド … 飛距離を出しやすいが、船着き場のようなゴチャゴチャした釣り場には向いていない。
短いロッド … 小場所向きで扱いやすいが、飛距離が出にくい。
自分がよく行く釣り場を想像して、足元や足元近くを狙うことが多いなら短いロッドの方が良いだろう。
初心者ほど沖を狙いたがるが、1尾に出会うために大切なのはストラクチャーを丁寧に撃つことだ。
ストラクチャーは足元の方が当然気づきやすいし見えやすい。
初心者が1本目を選ぶなら、多少の飛距離は犠牲にしても短いロッドをおすすめする。
7フィートくらいがバーサタイルで使いやすいだろう。
ロッドの硬さ
UL<L<ML<M<MH<H<EXH(XH)の順に柔らかい。右ほどルアーウェイト(背負えるルアーの重量)が大きくなる。
とはいえ、メバリングもアジングも1g前後のジグヘッドをリーダーに直結する「ジグ単」が基本なので、基本的にはULかLを選んで大丈夫だ。
フロートリグやキャロライナリグを使用したい場合10g前後のルアーウェイトが必要になるが、1本目のロッドでこれらのリグを扱うのは早計だろう。
リール・ライン編
リール
1000~2000番クラスのスピニングリールを選ぼう。200±10g程度の重さであればストレスは感じないと思う。
リールは特にデザイン性が豊かなので、見た目で気に入ったものを選んでも良いだろう。
ただし、巻き心地とラインキャパシティは確認する必要がある。
巻き心地は実際に手にとって巻いてみて、重く感じないか、止めたい時にピタっと止まるかを確認できると良い。
釣具屋ではショーケースに入っていることが多いが、巻き心地を比べたいとの旨を伝えれば触らせてくれるだろう。
ついでに、ライトゲーム用のリールを探していると伝えて、いろいろ教えてもらうのも良い。釣具屋の店員さんとは仲良くしておこう。
ラインキャパシティとはそもそも「ある太さの糸を何m巻くことができるか」の指標だ。
ライトゲームでは、PEやエステルの場合0.3号前後、ナイロンやフロロの場合は1号前後のラインを使用する。
したがって、これらの太さのラインを150~200m程度巻くことのできるラインキャパシティが必要だ。
ラインキャパシティはスプール、外箱などに書いてあるし、ネットで購入する場合も備考欄に必ず表記がある。
巻きたいラインを予め決めておき、マッチするリールを選択しよう。
ダイワ派の筆者としては、「LTコンセプト」を搭載した汎用スピニングリール「レガリス」「レブロス」辺りを推したい。
最低限の防水・防塵機能である「マグシールド」、ダイワ独自のドラグシステム「ATD」などが低価格ながら備わっており、非常に壊れにくい。
2020年7月にはレブロスのさらに下位グレードの「クレスト」も登場するので、こちらも気になるところ。
ライン
ライトゲームで使用するラインの種類、太さ、長さは次の通りだ。
PEまたはエステルライン … 0.3号前後/100~150m程度
ナイロンまたはフロロカーボンライン … 1.0号前後/100~150m程度
ナイロンやフロロカーボンは初心者におすすめされがちだが、安いものはクセが付きやすくバックラッシュの原因になるため筆者はあまりおすすめしない。
アジング、メバリングのどちらにも汎用性があって扱いやすいのはPEラインだろう。
アジングに特化したい場合エステルラインもメリットが大きいが、独特のクセがあり慣れるまでに時間がかかるので、初めはPEラインを選ぶと良い。
ジグヘッド・ワーム編
ジグヘッド
大きく分けると形状のタイプは2種類あり、メリットとデメリットも異なる。
丸型ジグヘッド(左側)
- 水の抵抗を受けやすい形状で、浮き上がりやすい
- リフト&フォールなど縦の動きが得意、根掛かり回避もしやすい
- 反面、レンジキープはやや苦手
矢じり型ジグヘッド(右側)
- 水の抵抗を受け流す形状で、浮き上がりにくい
- トゥイッチ(竿先をチョンチョン)すると左右に大きく動くダートアクションをする
- 軽量なものが少ない
人によってアクションのクセが違うため、どちらの形状がよく釣れるか少しずつ試していくと良い。
どちらかといえば初心者向けなのは丸型で、レンジキープがしやすいようにミゾが入っているものがおすすめ。
上記よりも絶対に頭に入れておいてほしいのは、ジグヘッドは軽いほど食いが良いという点。
どの魚もジグヘッドを吸い込むように丸呑みしようとしてくる。そのため、軽い方が吸い込みやすく口に入りやすいというわけだ。
また、ジグヘッドが重いと沈下速度も速いため、魚が口を使う「食わせの間」が発生しにくい。
ジグヘッドが軽すぎると、今度は投げにくかったり、巻き抵抗を感じにくかったり、やりづらさが増してしまうためバランスを取りながらウェイトを選びたいところだ。
初めは1gと2gの2種類があれば良いだろう。基準となるのは1gで、投げにくかったり巻き抵抗を感じにくい時は2gを使うようにしよう。
ワーム
2インチ前後のワームを使用するが、メバリングとアジングでワームを使い分ける必要はない。彼らはどちらもワームが大好きだ。
念頭に置いてほしいのは、その日によって反応する色が違うということ。
いつもは釣れる必殺カラーを投げても全く反応がなく、いつもは使わない2軍カラーに変えた瞬間、バタバタ釣れ始めるというのは、ルアーゲームではよくあることだ。
同じ形状のワームでも2~3種類は異なるカラーを揃えておきたい。
ワームの形状
ストレート … ミミズやゴカイのような真っ直ぐな形状をしたもの。
ピンテール … いもむしのおしりにピンを刺したような形。この形ってどう例えたら良いの。
シャッドテール … 小魚の尾が付いたような形状をしたもの。
カーリーテール … 尾が渦巻き状のヒラヒラになったもの。写真なし。
下に行くほどアピール力が強い。基本は上から順番に使っていくことになるが、1つだけを買うとすればストレート系のワームをおすすめする。
筆者はメバルをメインで狙うことが多く、ストレートテールだけで事足りることが多い。時々アジが混ざる感じ。
ローテーションの一角として持っておく分には良いと思うが、メバリングで気を付けたいのは「メバルは波動嫌い」ということ。
上記のワームは下に行くほどアピール力が強い=波動が強いが、メバルは強い波動を出すとたいてい警戒して口を使わない。
メバルをメインで狙うなら、波動の弱いストレートかピンテール系のワームをゆっくりと巻いてこよう。
ワームのカラー
基本の3色は「クリア」「グロー」「ケイムラ」。
特にクリアは汎用性が非常に高いので多めに買っても良い。
筆者はクリアカラーのストレートワームでだいたい事足りている。
光を当てると蓄光して光るのがグローカラーで、グローピンクやグローチャート(黄色)、グローオレンジなどのうち1~2種類あれば良い。
クリアカラーに反応がない時のスイッチヒッターとして使ってみよう。
ケイムラとは「蛍光紫」の通称で、紫外線が当たると発光する特殊な材料が使われたカラーだ。ワームの外装に「ケイムラ」と書かれている。
朝夕マズメなどの光量が少ない時間帯、常夜灯の下で目立たせたい時など、ここ一番で使う切り札。UVライトを当てれば、誰もが「めっちゃ釣れそう」と思うことだろう。
まとめ
以上を踏まえて、入門者・初心者が揃えたいライトゲームタックル一式をAmazonで探してみた。
合計17,396円だ。(2020年7月現在)
まずはロッドだが、ダイワのライトゲームブランド「月下美人」から月下美人 76UL-Sをおすすめしたい。
ルアーウェイトは0.5~5gでジグ単での釣りに特化されていて、オートマチックなフッキングを重視した設計になっている。
対アジにやや不安があるが、慣れてきたらジグヘッドを軽くしたり、0.1号クラスのPEラインに変更するなどで対応可能だ。
7.6フィートと小場所でも使いやすいため、初心者にも扱いやすいだろう。
繰り返すが、このタイプの竿は穂先がとても壊れやすいため、丁寧かつ慎重に使用してほしい。
次にリールはダイワの20レブロス LT 1000Sだ。ちょうど2020年に新しく発売したモデルである。
ハンドル1回転で64cmとスローな設定に、0.3号のPEラインが200mとたっぷり巻くことができる。
標準自重は何と200gと非常に軽く扱いやすい上に、初心者には嬉しい頑丈さも兼ね備えている。
また、ダイワ独自技術ののATDやエアローターも釣りを快適にしてくれる。
まさにライトゲームにピッタリの名機になるだろう。
次にメインラインだが、20レブロスは0.3号のPEラインを200mも巻くことができる。
劣化したラインはこまめに切るようにして、溝が深くなったら下糸を追加して巻き直せば経済的だが、0.3号-200mのPEラインはラインナップが少ないのが難点。
下糸を巻いて、その上から0.3号-150mのPEラインを巻く必要がある。自身がない人は、釣具屋でラインを購入して糸巻をお願いした方が良いだろう。
下巻きをする場合、0.3号のPEラインが余っていない人は、ダイソーで購入できる1号のナイロンラインを10~15mほど下巻きすればほぼピッタリ収めることが出来る。
20レブロスのハンドルの場合は、15~23回転分巻けばOKだ。参考にしてほしい。
0.3号-150mのPEラインはピンキリだが、コストパフォーマンスの面からメジャークラフト 弾丸ブレイドをおすすめしておく。
200mの商品としてはサンライン SIGLONを見つけたので、一応リンクを貼っておく。
ジグヘッドは初心者にピッタリのアイテムがある。TICT アジスタ!だ。
アイが大きく結束がしやすい他、水受けが付いておりレンジキープがしやすい、オープンゲイブのためフッキングしやすい…など、初心者に嬉しいオートマチックな機能が備わっている。
要するに、このジグヘッドをゆっくり巻いていればすぐに魚に出会える、ということだ。
1gをベースとして、ほかの重さや形状もゆっくりと試していってほしい。
正直、ワームに関しては直感も結構大切だと思うので、釣具屋で実際に見て決めて欲しい気持ちもある。
が、あえて初心者におすすめするなら、reins チビキャロスワンプだろう。
日中のフグに弱いのが難点だが、釣れるという前提条件のほかに、このワームはめちゃくちゃ刺しやすい。
ワームが真っ直ぐ刺さっているかどうかは釣果に直結するため、刺しやすいチビキャロは初心者におすすめだ。
カラーローテーションは大切なので、最低でも3色、クリア/グロー/ケイムラの3色は揃えておいてほしい。
もちろん上記がベストアンサーというわけではない。特にジグヘッドやワームは選択肢が広く、いろいろ試してみて初めて気づくこともあるだろう。
大切なのはギアを使いこなすために数をこなすことだ。
この記事を参考に自分で納得のいくタックルを揃え、まさに自分の力で1尾をキャッチしてほしいと思う。