「なんで勉強しなきゃいけないの?」わが子に聞かれた時のための備忘録

子どもに「なんで勉強しなきゃいけないの?」と聞かれた時、成長段階に合わせて伝える言葉を整理。成功体験、選択肢、世界の解像度、信頼、そして自分の身を守る力まで、備忘録としてまとめます。
✅ 子どもに「なんで勉強?」と聞かれて、言葉に詰まったことがある
✅ 「将来のため」って言うほど、子どもの目が死んでいく気がする
✅ 勉強を“点数の話”にせず、でも“現実の武器”として伝えたい
【この記事の結論】
断片的に言葉を溜めることができるようになってきた1歳半の娘にいつか「なんで勉強しなきゃいけないの?」と聞かれた時のために、20代を小中学生の指導に費やしてきたあきたりょうの所見を備忘録としてまとめました。
子どもが勉強しなければならない理由は、「自分の身を自分で守るようにするため」、「"伝える言葉"を溜めるため」です。
この記事を書いている人"あきたりょう"
学力テスト上位常連の秋田県で、学習塾講師として10年以上、小・中学生の学びと向き合ってきました。
学童保育の立ち上げ・運営にも関わり、教室と生活の両方から子どもを見てきた立場です。
「なんで勉強しなきゃいけないの?」と子どもに聞かれた時の答え
子どもに「なんで勉強しなきゃいけないの?」と聞かれて、言葉に詰まった経験はありませんか。
「将来困るから」
「いい学校に行くため」
「大人になってから必要だから」
どれも間違いではありません。けれど、いまひとつその言葉が子どもに本当に伝わっている実感を持てない。それが、この質問をより難しくしています。
わが子には、自分の心と体を自分自身で守れる大人になってほしい。
そのために、今どんな言葉を残しておくべきなのか。それを考えることが、親としての自分の課題でもあります。
早いもので、まだ断片的ではありますが、少しずつ言葉を覚え始めた娘がいます。いつか同じ質問をされた時、その場の思いつきではなく、ちゃんと考え抜いた言葉で向き合えるように。この記事は、その日のための備忘録として書いています。
今回は、「なんで勉強しなきゃいけないの?」の答えを決めつけず、子どもの成長段階に合わせて、どんな言葉で伝えれば良いかを整理してみたいと思います。
もちろん、ここに書いた考えがすべての家庭、すべての子どもに当てはまるとは思っていません。ただ、同じように悩んだり立ち止まったりしている人にとって、何か1つでも参考になる部分があれば幸いです。
子が幼いうち(目安:幼稚園~小学校中学年くらい)
「できることが増えるよ」|成功体験の積み上げ
子どもがまだ小さいうちは、勉強の意味を難しく説明する必要はありません。まずは、「できることが増えるよ」。これで十分だと思います。
「字が読めるようになる」
「簡単な計算ができるようになる」
「時計が読めるようになる」
こうしたひとつひとつは、大人にはとても小さな変化のように思えますが、子どもにとっては大きな成功体験です。この「できた」という感覚は次の「やってみよう」という挑戦につながります。
この段階で大切なのは、将来の話を持ち出すことではありません。「今、できることが増えている」という事実を一緒に喜ぶことです。成功体験の積み上げは、健全な精神を育むための土台である自己肯定感を高めます。
「前はできなかったのに、できるようになったね。すごいね」
そんな声掛けを重ねながら、勉強=自分が成長している感覚として積み上げていくこと。幼少期の勉強において大切なのは、成果の大きさではなく成功体験の数です。
「将来なりたいものになれるよ」|選択肢を増やす
なんで勉強しなきゃいけないの?の話をする時に、将来のことを事細かに説明する必要はありません。小学校があって、中学校があって…その先にも続きがあるという感覚をわかってもらえたらそれで良いと思います。
「勉強を頑張ると、行ける学校が増える」
「行ける学校が増えると、選べる道(職業)も増える」
前の項の「できることが増える」の延長線上に、「なりたいものになれる」があることを紐づけてあげると、一貫性があって子どもに伝えやすくなります。(大人の発言の一貫性は、子どもにとってはとても大切なことです。)
この「夢に向かって勉強する」という考え方は、あくまで勉強することへの理由付けに過ぎません。「夢のために頑張ること」を幼いうちから過度に刷り込むことは、将来の挫折や喪失を大きくするリスクもあります。だからこそ、勉強と同時に、勉強以外の創造性も育てておくことがとても大切だと考えています。
「物事の仕組みがわかるようになるよ」|世界の解像度を上げる
これは「一杯のコップの水」の話が有名ですね。
「一杯のコップの水」(要約)
算数を勉強すると、この水が何ml入っているか数えることができ、
理科を勉強すると、この水が水素と酸素からできていると知ることができ、
社会を勉強すると、どうして私たちは綺麗な水を飲めるかが分かり、
国語を勉強すると、この話を正しく他人に伝えることができるようになる。何も学ばなかったら、眼の前にあるのは「ただの水」で終わる。
だから勉強するのだ、この世界をただ見ているだけの人生で終わらせないために。
勉強をして世界を知ることで、世界の解像度を上げることができるようになります。これは、物事の仕組みが分かるようになるということです。
同じ出来事を見ても、ただ起きたこととして感情だけで受け止めるのか、「原因」「過程」「結果」として捉えることができるかで、考え方や受け止め方は大きく異なります。世界の解像度が上がり、物事の仕組みが見えるようになると、人生を楽しく、より豊かにすることができます。
また、世界の解像度を上げることは、社会で生きていくうえでは非常に大切なことでもあります。日常に散らばる情報や噂が正しいかどうかを判断する力や、最終的には自分の身を守ることにも繋がるからです。
現代は、インターネットやSNSが若年世代にまで浸透しており、正しい情報と間違った情報が混ざって流れてくるのが当たり前の時代です。世界の解像度が上がることで、その違いを立ち止まって考えることができるようになります。
少し大きくなってから(目安:小学校高学年~中2までに)
小学校高学年~中学2年生くらいになると、親御さんのたゆまぬ努力もあって大人の言葉を受け止められる子が増えてきます。強度は違えど、「将来の自分」や「お金を稼ぐ仕組み」を理解できる子も多いです。
この辺りから、勉強の出来具合=テストの点数=価値という曲解が起こりがちです。大人側も「勉強しなきゃいけない理由」と「人間としての価値」を切り離して、勉強で失敗した時の心のケアも同時に考えていかなければなりません。
ここでは「心のケア」を「絶対に人格否定をしない」という簡潔な言葉に落とし込みつつ、あくまで「勉強を続ける理由付け」についてフォーカスを当てて整理していきたいと思います。
「信頼される大人になるためだよ」|作業工程の推敲&精度向上
信用=お金という経済学の話ではなく、あくまで「できることが増える」の延長上に「信頼される大人」があるという考え方です。単純に、
「できることが多い」
「ミスが少ない」
「しかも、速い」
こういう大人は社会で信頼され、重宝され、結果的にお金をたくさんもらえます。
学童時期の一見意味のなさそうにも見える勉強は、学年が上がるにつれて「公式一つでは解けない問題」がたくさん出てきます。知識を複合的に使わなければならない問題や、その上で"気づき"や"発想"が必要な問題などです。
教科(分野)によって求められる知識は様々ですが、ひとつの解答にたどり着くまでに、いくつかの「作業工程」を経る必要があり、それを「正確に処理」する力が必要とされるようになります。
勉強とは、この「作業工程を考え、整え、精度を上げる練習」を何度も何度も繰り返している時間でもあります。
当たり前のことを、当たり前に、安定してこなせる人間になること。
勉強はその基礎を静かに育てています。
「行きたい高校や大学に入るためだよ」|試験という"ふるい"
「行きたい高校や大学に入るためだよ」というのも、「なんで勉強しなきゃいけないの?」に対する、ひとつの答えです。
社会人になり、仕事をして、自分でお金を稼ぐようになると、求められるのは「数字という成果」か「ノーミスかつハイテンポ」のどちらかで、残念なことに社会の構造上、努力過程は評価されにくく、最終的な結果だけで、その人の評価や報酬が決まる場面が多くあります。
子どもにとっては厳しく見えるかもしれませんが、これは同時に、社会という現実そのものでもあります。
限られた条件の中で、少ないミスで、一定の成果を出し続けられる人は、社会から求められる存在になっていきます。高校・大学入試の「試験」という仕組みも、この構造とよく似ています。
知識量、処理能力、理解力、発想力。
こうした力を、ひとつひとつ個別に評価することは現実的にはできず、現状では、それらをまとめて測る手段として、「試験」という方法が使われています。
試験では、努力の過程はほとんど評価されず、結果だけでふるいにかけられます。一見すると冷たく感じるこの側面も、社会の現実と共通しています。
もちろん、高校入試や大学入試に合格することが、すべてではありません。
これは、私が塾講師をしていた頃、何度も子どもたちに伝えてきたことです。
大切なのは、どんな結果であれ、そこまでに積み重ねてきたものを受け止め、その結果を、どう未来に反映させていくかです。
試験の結果が、人生のすべてを左右することはありません。
けれど現実的には、可能性を広げるために「合格しておくに越したことはない」のも事実です。
次々と選択を迫られる人生において、理想の選択肢を手繰り寄せるための、現実的な関門であることは間違いありません。
これが、「行きたい高校や大学に入るために勉強する」ということです。わが子には、遅くとも中学2年生くらいまでには、この"社会の現実"の輪郭だけでも知っておいて欲しいなと思っています。
幼少期から大人になってもずっと伝え続けること
言葉が拙いうちは、わかるところまで。言葉を溜められるようになったら少しずつ。わが子が大人になってからも、ずっと伝え続けたいことが、次の2つです。
自分の身を自分で守れるようにするため
社会に出ると、嫌でも「悪意をもって近づいてくる大人」がいます。もしかすれば、学校という社会の中で、既にこれらの悪意を身をもって知ってしまった子もいるかもしれません。
悪意は「言葉」や「仕組み」に化けて近づいてくることもあります。優しそうな言葉に隠れた言葉の暴力、都合の良い話に化けた搾取。他にも、成果の横取りをする不誠実な人や、ストレートに悪口やハラスメントを言う大人は、働く親世代であれば誰もが経験したことがあるはずです。
勉強することを通して、できることが増え、将来なりたいものを夢見ながら、世界を見る解像度を磨いてきました。これは、人や人の言う事の本質を見極める力と、悪いやつに騙されない判断力と、苦手な人と距離を取るための言葉を与えてくれます。
正しさを振りかざして戦っても、自分が傷つくだけの場面は、大人になったら何度だって訪れます。人を見る“視点"と“言葉"があれば、立ち向かう力だけでなく、「近づかない」という“判断"を持つこともできます。
勉強を通して身につけた力は、“信頼される人間"の土台になります。信頼は仕事やお金を与えてくれ、その根っこにあるのはやはり勉強です。
5教科の勉強は、直接役には立たないかもしれませんが、勉強を通じて"勉強"した「知ろうとする力」「考える力」「経験を溜める力」は、必ず自身を守るために役に立ってくれます。
世界は必ずしも善意や正しさだけで出来ていないからこそ、時には世界を疑い、考え、その上で前に進めるようになってほしい。知ろうとすること、考えること、経験を溜めることを放棄せず、避けられる不幸はきちんと避けられるような、誰かに守ってもらわなくても生きていけるような大人になってほしいと願っています。
どうあっても、親が子どもを守り続けられる時間には、限りがあるのだから。
“伝えるための言葉"を積み重ねるため
そしていつか、わが子に愛する人ができて、守るべき人が産まれた時。
今じゃない、でも「いつかきっと来る」その時に、あらゆる大事なことを伝えられるのはただ一つ「言葉」だけです。
大切な人や守るべき人は、自分の気持ちを勝手に理解してくれる存在ではありません。
“これは危ないから触っちゃダメ"
“ありがとうとお疲れ様は目を見て言おう"
“トイレットペーパーはなくなったら替えてほしい"
“幸せになってほしい"
それを伝えるのは沈黙ではなく言葉です。
人は言葉を通じて、少しずつお互いのことや社会のことを理解していきます。愛も善意も、言葉にしなければ決して届きはしません。
わが子には、「いつか」が来た時に、自分の想いをきちんと伝えられる大人になってほしい。
守りたい人を守れるような、強い大人になってほしい。
だから私は「"勉強"しなきゃいけないよ」と伝え続けていきます。
伝えるための言葉を積み重ねるために、積み重ねた言葉で気持ちを伝えられるように。
これまでに幸運にも積み重ねてこれた経験を、言葉にして、わが子に手渡していきたいと思っています。
親も子から勉強し、一緒に成長する姿勢が大事
ここまで書いておいて矛盾するようですが、勉強は人生の「唯一解」ではありません。勉強がすべてではありません。大事なことなので二度言いました。塾講師をしていた頃も、「勉強よりも大切なのは、自分らしく生きること」だと常に話していました。
家族と接する時間、注いだ愛情、学校社会での健全な摩擦、なんだかよくわからないまま走り出したら立派な大人になって帰って来ることも全然あります。勉強ができなくとも、笑顔が素敵だったり、スポーツや音楽の才能があったり。人間の価値は、勉強だけでは絶対に決まりません。
そのうえで、です。それでも「"勉強"は大切と説く理由」は、"一杯のコップの話"のように世界の解像度を上げられることと、子どもには武器と防具、そして社会へ羽ばたく翼を授けることが親としての務めだからです。
当然、世の中の親御さんも、私も、未完成な人間ですから、子どもに伝えたいことは、まず自分たちが学び続ける姿勢が必要だと思っています。
その"勉強"は、当然5教科の勉強ではありません。5教科の勉強は、通信教材や塾など専門家に任せたほうが効率的な場面も多いでしょう。
まずは「宿題をする時は一緒になって机に向かう」ことや、「子どもが勉強中はTVをつけない、親もスマホを触らない」ことなど、姿勢の部分だけでも十分だと思います。
具体的に親がするべき"勉強"は、気が向いたら別の記事で書いてみたいと思います。
参考文献は"あきたりょうの経験"です
私自身、学習塾で働いていた頃、子どもたちから教えてもらったことが本当にたくさんありました。
- 純粋に勉強ができるようになりたいと思っている子
- 本当は勉強なんかしたくないけど、
「やらなきゃいけないことは分かってる」と話してくれた子 - 勉強の意味も目的も分からないまま、
一貫して勉強に前向きになれなかった子
性格も、育ってきた環境もそれぞれ違います。ともなって、彼らの勉強に対する考え方も十人十色ならぬ"万人万色"でした。子どもたちを文字通り支えてこられた親御さんたちの葛藤やもどかしさは、今でも鮮明に思い出されるものがあります。
この記事を読んでくださっている方の中にも、まさに今この瞬間、机に向かってくれない子どもを前に、どうか変わるべきか悩んでいる方がいらっしゃるかもしれません。
人生の中で、そう何度も経験するわけではない子育ての時間。その中でも、子どもの将来に大きく影響するかもしれない大切な時期に、お子さんを預けていただいた信頼には、今でも感謝の気持しかありません。
病気のため、30歳で教育の業界からはリタイアすることになりましたが、そこで得た、かけがえのない経験を風化させることなく、わが子にも、そして言葉を必要としている誰かにも、少しずつ還元できたらと考えています。
この記事も、そのための備忘録のようなものです。不定期な更新にはなりますが、もし共感していただける部分があれば、また読みに来ていただけたら嬉しいです。
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あきたりょう|1歳娘のポンコツ父ちゃん×潰瘍性大腸炎
1歳娘のポンコツ父ちゃん👶🔰|ENTJ-A|塾講師歴10年📚今は普通の会社員|💊潰瘍性大腸炎(全大腸炎型中等症)|海釣りキャンプDIY|📖blog闘病体験日記や趣味のこと、教育のことを備忘録として書いてます|無言フォロー、突然のコメントご容赦下さい🙇



















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