UC闘病体験日記|JAK阻害薬「ジセレカ」の効果と副作用、6週間の体験まとめ

2025年10月28日潰瘍性大腸炎|UC闘病体験日記,ヘルスケア|こころと身体の備忘録

JAK阻害薬「ジセレカ(フィルゴチニブ)」の効果と副作用、6週間の体験談をまとめた記事のアイキャッチ

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あきたりょう
あきたりょう
潰瘍性大腸炎の治療を大腸局所作用型ステロイドのコレチメント(ブデソニド)からJAK阻害薬「ジセレカ」に変更しました。入院しながらの服用で、食事療法も交えながらじっくりじわじわと体調は回復に向かいました。

2020年に潰瘍性大腸炎(左側炎症型・中等症)と診断。プレドニゾロンを服用しながら約5年間寛解を維持するも、再燃し休職。ステロイド新薬のコレチメントで一時寛解手前まで回復するがサイトメガロウイルス(CMV)再活性により再びダウン。入院し、食事療法とJAK阻害薬「ジセレカ」での治療を試みました。
ビギナーズノート
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JAK阻害薬「ジセレカ」とは?潰瘍性大腸炎での治療と仕組み

治療方針の変更により、局所作用型ステロイドのコレチメント(ブデソニド)を中止し、JAK阻害薬「ジセレカ(一般名:フィルゴチニブ)」という薬の服用が始まりました。

主治医の先生、薬剤師の先生からそれぞれ説明を受け、自分なりにも調べた内容を備忘録として書き残しておきたいと思います。これから服用される方の参考になれば嬉しいです。

ジセレカはどんな薬か|潰瘍性大腸炎の炎症をおさえる基本イメージ

「ジセレカ」は、内服(口から飲む)する薬で「炎症を起こすスイッチを少し弱める」働きを持ったものです。

潰瘍性大腸炎(UC)は、大腸の免疫機能が過剰に反応することで炎症が起き、その結果下痢・血便・腹痛の症状が出ると言われています。私の中では、こんな理解。

※あくまでイメージです。

健常者の大腸と、免疫が過剰に反応してしまい炎症を引き起こす潰瘍性大腸炎患者の大腸の比較イラスト

免疫が“なぜか”過剰反応を起こしてしまい、本来炎症を起こさなくてもいい箇所でも炎症が慢性的に生じてしまうのが潰瘍性大腸炎(UC)の特徴です。大腸を守ろうとする機能が、逆に大腸を攻撃してしまっているということです。JAK阻害薬で炎症を起こすスイッチをOFFにすると、こんなイメージ。

ステロイドのように全身の免疫スイッチをオフにするわけではなく、コレチメントのように大腸に特化して免疫スイッチをオフにするわけでもなく、潰瘍性大腸炎において悪さをしていると思われる免疫細胞にピンポイントで「まず落ち着け?」と語りかける薬だと理解しています。

正確には、「JAK」はシグナルの伝達経路のことなので、免疫そのもののスイッチを切る(=免疫を弱める)わけではないと思われます。「炎症を起こせー!大腸を守れー!」と伝達する経路を阻害することで、炎症を起こすという命令が細胞に伝わらないように作用するのが、「JAK阻害薬」の役割です。
あきたりょう
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専門的な作用機序|JAK阻害薬ジセレカとJAK-STAT経路

ジセレカ(一般名:フィルゴチニブマレイン塩酸)は、「JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬」に分類される内服薬です。炎症性サイトカイン(IL-6、IL-2、IFN-β、TNF-αなど)の情報伝達を仲介するJAK-STATシグナル伝達経路を阻害し、過剰な免疫応答を鎮静化する働きがあります。
潰瘍性大腸炎(UC)では、腸粘膜で免疫細胞が慢性的に活性化し、サイトカインが連鎖的に分泌されることで炎症が持続します。ジセレカはこのシグナル伝達をブロックし、炎症性サイトカインの発現を抑制することで腸粘膜の炎症を制御する、というメカニズムで作用します。

JAK-STATシグナル伝達経路は、免疫機能と大腸粘膜の細胞をつなぐ「電話線」みたいなイメージ。
「免疫機能」は「電話線」を通じて「大腸粘膜」に異常を伝える。その結果「大腸粘膜」は炎症を起こす…けど、「電話線」を切っちゃえば炎症も起こらないね~、というのがJAK阻害薬の発想。
あきたりょう
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日本では、まず関節リマウチの治療薬として承認され、続いて2022年3月に「中等症~重症活動期の潰瘍性大腸炎(既存治療で効果不十分な場合)」という適応が追加承認されました。
1日1回の内服で済むため、ステロイドによる治療が困難かつ「点滴・注射ではなく飲み薬での治療」を希望する患者さんにとっては有難い選択肢となります。

副作用として、感染症のリスク増や血球減少、肝機能障害などが報告されており、臨床現場では定期的な血液検査や肝機能モニタリングが推奨されています。

潰瘍性大腸炎(UC)治療におけるジセレカの位置付け

潰瘍性大腸炎(UC)でジセレカが選ばれる場面として、「既存の治療(ステロイドなど)」が効果不十分な場合や、注射や点滴が困難、あるいは避けたい、自宅療養・内服での管理が推奨・希望の場合などが挙げられます。
内服での治療は「続けやすい」ですからね。

GoogleでUC患者の先輩方の記録を見てみると、「1か月で症状が落ち着いた」「3か月で便漏れが止まってQOLアップ」「外出が楽になった」といった声が多く見られます。一方で“劇的即効!”ではなく、「悪化のスピードが落ちた」など、下り坂にブレーキをかけるようにゆっくりと安定に向かっていくといった体験談が中心でした。

ジセレカ開始から6週後の経過|入院治療から自宅療養への移行記録

主治医の先生からは「人によるけど結構すぐ効く」と勧められて内服を開始しました。その効果やいかに…ドキドキ。

服用初期の状態と副作用チェック:どの程度「すぐ効く」と感じたか

主治医の先生から「人によるけど結構すぐ効くよ」と言われて始まった、ジセレカ(フィルゴチニブ)の服用。
私は単純な性格なのでプラシーボ効果できっとよく効くんだろうと内心ニヤニヤしていました。

未知数の薬だったので、服用初期は副作用の出現に注意しながら経過を観察していましたが、特筆すべき症状は見られませんでした。発疹や倦怠感もなく、体調はおおむね安定していました。

服用後は急激な変化も特になく、時間と共に症状はおだやかに軽減していきました。血便は次第に減少し、夜間の腹痛や切迫感も消失。依然として便は泥状or柔らかいままでしたが、排便時の不快感、痛みは入院の前後で明らかに改善していました。

他のUC患者さんの中には「服用開始から1か月で症状が落ち着いた」という話をブログやSNSでされている方もいましたが、私の場合は急激な回復というよりも「ゆるやかな安定化」という印象がありました。

入院中の食事療法と症状の変化・血便と腹痛の推移

入院期間中は、薬物療法に加えて食事療法も並行導入。病院食は資質や刺激物が避けられ、消化器官に負担がかからない食事をしていました。味気が無いので「海苔の佃煮」や「ふりかけ」を使っても良いか等は都度確認しながら摂取するようにしました。

便の形状は泥状or軟便だったのは摂取する食事が柔らかい食事だったことが要因としては大きいのかな?と思いつつ、主治医の先生は「炎症が落ち着いていれば、柔らかい食事でも便に形は出てくる」とのこと。まだ大腸が正しい仕事をできていないことを便の形を見て納得。

治療中は安静を保ちつつ、生活リズムを一定に保つことを意識していました。21時消灯は私にとっては早すぎましたが、スマホを封印し(スマホ見てると本気で眠れない。怖い)、深い眠りにつけるよう努力しました。

安定期という扱いでの退院と主治医の理解への感謝

服用開始から約6週、症状は安定傾向を維持していました。
その時点で「はやく退院したいな~まだかな~」という雰囲気を全身に醸し出しつつ、主治医の先生、セカンドオピニオンの先生に意見を求めると、「無理をしない範囲であれば自宅療養に切り替えても問題ない」との見解が示されました。結局、三者一致で退院することを決定。焼き肉食べ放題には行かないよう、釘を刺されました。

退院後は「寛解に至った」わけではなく「活動性が抑えられた」との扱いでした。医師からも「再燃を防ぐためには、引き続き慎重に、安静を保つこと」との指導を賜りました。ジセレカによって炎症が鎮静化した一方で、完全な粘膜治癒には至っておらず、あくまで「次の経過観察に備える段階」ということを念頭に置いて生活しなければと思いました。

ちなみに、自宅療養の期間中も再燃を懸念して、引き続き休職していました。「無理すれば再燃しそう」という不安を伝えると、主治医の先生も「そうでしょうね」と快く診断書を書いて下さいました。
優しい先生で良かった~

まとめ|今後の体調管理とモニタリング

潰瘍性大腸炎(UC)による腸内炎症再燃に注意することはもちろん、ジセレカ服用中は感染症や肝機能の以上に注意が必要とされ、これらの副作用が顕現しないよう安静第一で過ごしました。

自宅療養中は、食事内容の管理と十分な休息を優先。家族のご飯もヘルシーになってしまうのは巻き込んで申し訳ないと思いつつ、刺激物や高脂肪食を控え、消化器官に負担をかけない範囲で必要なエネルギーを摂取できるよう努めました。

症状は一時的に落ち着いていたものの、血便はゼロにはならず(1週間に3~4回程度)相変わらず便は柔らかいまま。2週間おきの通院での血液検査においても、炎症反応(CPR)は基準範囲になかなか戻らず…。

今度の記事では、ジセレカ服用から10週(=ジセレカの効果の有無を判断する目安)経過、その後の治療方針についてをまとめてみたいと思います。
今後も慎重に治療と生活のバランスを保てるよう、経過を観察していきたいと思います。

この記事では以下を参考にさせて頂きました

  1. 日本イーライリリー株式会社・ギリアド・サイエンシズ株式会社
     「JAK阻害薬 ジセレカ®(フィルゴチニブマレイン酸塩)製品情報サイト」
     https://www.jyseleca-pt.jp/uc/
  2. 日本医薬品医療機器総合機構(PMDA)
     「医薬品医療機器等承認審査報告書:フィルゴチニブマレイン酸塩(ジセレカ錠)関節リウマチ・潰瘍性大腸炎」
     https://www.pmda.go.jp/drugs/2022/P20220315002/230867000_30200AMX00939_B100_1.pdf
  3. EAファーマ株式会社/ギリアド・サイエンシズ株式会社(共同プレスリリース)
     「JAK阻害薬『ジセレカ®錠』、潰瘍性大腸炎に対する適応追加の承認を取得」
     (2022年3月28日)
     https://www.eapharma.co.jp/news/2022/0328-1.html
  4. 厚生労働省 医薬品医療機器等安全性情報(No. 389)
     「ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬と感染症等のリスクについて」
     https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000175714_00006.html
  5. Ubie(ユビー)おくすり事典
     「ジセレカ錠の副作用・注意すべき症状」
     https://ubie.app/byoki_qa/medicines/npqwttd-cm
  6. EAファーマ株式会社 医療関係者向けサイト
     「潰瘍性大腸炎におけるJAK阻害薬フィルゴチニブの作用機序および臨床試験成績」
     https://www.eapharma.co.jp/medical/uc/jak-mechanism.html
  7. 日本消化器病学会
     「潰瘍性大腸炎診療ガイドライン(2023年改訂版)」
     https://www.jsge.or.jp/guideline/disease/2023_ibd.html

あきたりょう|1歳娘のポンコツ父ちゃん×潰瘍性大腸炎

1歳娘のポンコツ父ちゃん👶🔰|ENTJ-A|塾講師歴10年📚今は普通の会社員|💊潰瘍性大腸炎(全大腸炎型中等症)|海釣りキャンプDIY|📖blog闘病体験日記や趣味のこと、教育のことを備忘録として書いてます|無言フォロー、突然のコメントご容赦下さい🙇

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