UC闘病体験日記|潰瘍性大腸炎とプレドニゾロンの副作用

潰瘍性大腸炎の治療で処方されることが多いステロイド薬「プレドニゾロン」。強力な抗炎症作用で症状を抑えてくれる一方、副作用に苦しむ人も少なくありません。中等症の潰瘍性大腸炎と診断され、プレドニゾロンを何度か服用しました。
筆者の場合、幸いムーンフェイスや重度の副作用はありませんでしたが、それでも不眠や肌の劇荒れ、胃の不快感、食欲爆増など、日常生活にじわじわと影響を与える症状に悩まされました。
副作用の出方には個人差があること、そして軽度であっても苦しい場面があることを、リアルな体験を通してお伝えできればと思います。
潰瘍性大腸炎と診断され、これからプレドニゾロンを使う方にとって、少しでも参考や安心材料となれば幸いです。
潰瘍性大腸炎とプレドニゾロン
潰瘍性大腸炎の治療にステロイドが使われる理由
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が生じる指定難病であり、症状の悪化(活動期)と改善(寛解期)を繰り返すのが特徴です。炎症を抑えることが治療の中心であり、そのために使われるのがステロイド薬「プレドニゾロン」です。
プレドニゾロンは、免疫の過剰反応を抑えることで炎症を鎮める効果があり、特に症状が強い中等症以上の潰瘍性大腸炎に対して使用されることが多くあります。服用を始めて数日以内に下痢や血便が改善し始めるケースもあり、即効性のある治療薬として医師から処方されることが一般的です。
ただし、プレドニゾロンは長期間の使用に適しておらず、副作用のリスクも高まるため、症状が落ち着き次第、徐々に減薬(ステロイドテーパー)していくのが基本的な治療方針となります。
余談のような本当の話ですが、まぁどんな薬でもそうだと言えばそうなのですが、飲み忘れは非常に危険だとされています。体内で元々分泌されるステロイド成分が服薬中は一旦生成ストップするため医師の指示なく急に服薬を中止してしまうと重大な副作用を余計に誘発してしまうようです。気をつけよう!
筆者にプレドニゾロンが処方された経緯
入院するまでの経緯は前の記事にあるので省略しますね。まだの方は良かったら読んでみてください。
筆者のUCはS字結腸から横行結腸の肛門側、簡単にいうと左側が痛いタイプでしたので、経口投薬だと少し遠く、でも坐薬も届きにくいような場所でした。炎症箇所まで溶けずに届くような薬ということで最初の治療薬として投入されたのがリアルダという薬。確か大腸にある特有の酸性濃度に反応して溶け出すとかそんな感じだったと思います(大腸の患部に到達したら溶けるということ)。粒がデカくてくっそ飲みづらいです。
軽症程度であればこれで寛解することもあるようですが筆者の場合は炎症の勢いが強く改善が見られませんでしたので、主治医の判断でプレドニゾロンの内服が開始されました。これはいわば「切り札」的な位置付けであり、症状を素早く抑え込むための短期的な集中治療として用いられたと認識しています。
筆者の場合、プレドニゾロンの効果は比較的早く現れ、服用開始から1週間程度で腹痛・下痢・血便の3色パンチの頻度が激減、正直これだけで心身ともに相当ラクになりました。当然体力もどんどん回復していき、元気になっている実感をしっかりと得ることができました。
主治医の先生からは、「プレドニゾロンは一時的な治療であり、体調が安定したら必ず徐々に減薬していく必要がある」と説明され(この頃にはもう退院間近でした)、ステロイド依存や副作用へのリスクについても丁寧にレクチャーされました。
結果的に退院してから1年間くらいはプレドニゾロンの服用をやめると症状が再燃するステロイド依存型UCとして分類がされたこともあり、「潰瘍性大腸炎の治療において、プレドニゾロンは効果的である一方で、副作用や依存性、服用管理には慎重さが求められる薬だ」ということを理解するきっかけになりました。
実際に発現した副作用
プレドニゾロンが処方され、筆者は幸いにも「ムーンフェイス」や「骨粗鬆症」などの重度の副作用は現れませんでした。服用量や体質によって差があるようで私の場合は副作用の出にくい体質だったのかもしれません。それでもいくつか気になる副作用は出ていましたので紹介します。
不眠症
顕著だったのが不眠症でした。寝つきが悪いというか、全く眠れなくなりました。ふわふわと眠くなってきても、小さな物音や光の変化でスッと目が覚めてしまい、そのまま朝を迎えていました。不思議なことにそのまま朝ごはん、昼ごはんを食べて時間は経過していくのですが、困ったことに15時くらいになると限界だったのか眠りに落ちてしまい、完全に生活リズムが壊れました。21時くらいになると目が覚めて、かっちりと目が醒めてしまうという悪循環に悩まされました。
不眠症はステロイド治療に限った話ではありませんが、いざ自分がなってみるとこんなに辛いものなのかと痛感させられました。対処としては主治医の先生に相談して、ベルソムラ、ラメルテオンなどの依存性の低い睡眠導入剤を処方してもらい、睡眠リズムの改善に努めました。それでも日中めちゃくちゃ眠くなるので(車の運転が困難なレベル)結構な気合いが必要だったと記憶しています。
免疫力低下による肌荒れ
肌荒れ…と聞くと地味な副作用だなと思われるかもしれませんが、顔から首、胸、背中にかけて天の川くらい無数の吹き出物が出ました。天の川は言い過ぎですが、本当に半端ではなかったです。
顔や首は外見的な観点からもストレスは大きかったですし、胸、背中も含めて寝転がったり、服が擦れるだけでも痛いんですよね。皮膚科にも行き、お薬手帳を見てもらい干渉しない薬を処方してもらいましたが、根本的に常に清潔を保つことを過剰に意識しないといけなかったのがなかなかに辛かったです。
不眠も辛かったですが、肌荒れも非常に辛かったです。
食欲の爆発的な増加
元々食が細い痩せ型ですので、食欲が増えて減った体重が戻ったところまでは良かったのですが、常に何か口にしていないと落ち着かないという満腹中枢ぶっ壊れマンになってしまいました。特に夜中にお腹が空くと入眠もしづらくこれも不眠症につながったのだと思います。
当然食べ過ぎていますので、胃の不快感もありなんとも言えないムカムカが毎日続いていました。それでも食べたくなってしまう…我慢できずに食べてしまう人の気持ちが、少しわかったように思いました。
飲み忘れを防止するための工夫
潰瘍性大腸炎の治療薬であるプレドニゾロンを服用する上で、最も注意すべきことの一つが「飲み忘れ」です。
プレドニゾロンのようなステロイド剤は、急な中断や服用忘れによって副作用を誘発するリスクがあるとされています。なぜなら、服薬中は体内の副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の分泌が抑えられており、急に薬をやめることで身体が対応できなくなるからです。
筆者も主治医から「飲み忘れは絶対に避けてください」と繰り返し注意を受けてきました。とはいえ、日々の忙しい生活の中で、ついうっかり…ということも起こりがちですので、やはり「飲み忘れを防ぐ工夫」というものが必要だと思います。
スマホのアラーム機能・リマインダー機能を使う
筆者もやっていました。アラーム、リマインダーともに日常でよく使用する機能だったので、使用自体はしやすかったです。
ただ私の場合はスマホから得られる情報があまりに多過ぎて他の通知に紛れて結局忘れてしまうことがあったので、結局やめてしまいました。
ピルケース、ウォールポケットを使用
カレンダー型のピルケースに薬を収納するという方法も試しました。飲み忘れ防止と、収納という観点で見るととてもスタイリッシュで気に入っていました。
ただ、予め薬を小分けに準備する必要があるという問題、リアルダは冷蔵庫で保管必須なので、収納なのに1箇所に集まらないという問題はあります。ただそれでも、朝のドタバタしている時間帯に「あれ?さっき薬飲んだっけ?」となるのを、ピルケースやウォールポケットの薬の有無で判断できるので重宝します。
私も薬の飲み忘れなんて老人たちの問題だろうと舐めていたんですが、嘘かと思うんですがマジで飲んだかどうかを忘れます。忘れるというか正確には、飲んだかどうか不安になる程度なのですが。飲んだかどうかを後から確認ができるというのは非常に有効な飲み忘れ防止手段になると思います。
飲むタイミングを習慣の中に組み込む
「歯を磨いたら飲む」「朝食を食べ終えたらすぐに飲む」等、生活のルーティンの中に自然に溶け込ませるということが最終的には大切なると思います。朝起きたら着替える、ご飯を食べたら歯を磨く、寝る前には電気を消す、くらい自然にできるようになるまでは、何かしらの道具に頼った方が得策かとは思います。
軽微かどうかは関係ない。副作用は主治医に報告・相談を
これらの副作用は一見すると「軽微」に思われるかもしれませんが、日常生活の質をじわじわと削っていくもので、特に精神的ストレスにつながりやすいものです。潰瘍性大腸炎の治療においては、ストレスを溜め込まないということも大切なように思います。
副作用自体を抑えるための療法もきちんと存在しますので、定期診療で主治医の先生に遠慮せずに報告、相談することが大切だと思います。
潰瘍性大腸炎そのものとの付き合いはもちろんですが、それはつまり治療に伴う副作用ともうまく付き合っていくということだということを少しではありますが理解できたように思っています。これから先もステロイド治療をすることはあるでしょうから、私自身してきた経験をしっかり活かして、QOLを守っていきたいと思っています。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません